2009年3月12日木曜日

NHKスペシャル:沸騰都市 シンガポール

今年に入ってから、一番面白かったドキュメント。本当に印象深かったのでブログに投稿します。

NHKスペシャル 沸騰都市 第7回
シンガポール 世界の頭脳を呼び寄せろ


東南アジアの小さな国 シンガポールの国家戦略についてのドキュメント。
この国は資源もないし、国土も小さい。他国(マレーシアなどの近隣諸国)に依存しないと生きていけない国。そんな国が世界でも大きな存在感を持っていて、将来にわたって、その存在感をさらに大きなものにするにはどうしているか?を追ったドキュメント。

■印象深かった所
・世界中の超一流の頭脳を積極的に集めている。
 去年~今年にかけて金融危機の影響で、各国とも疲弊しているが、シンガポールも例外ではありません。しかし直前までは、世界の金融センターを作るのが、国家戦略でした。今度はバイオ研究。広大な研究所をつくり、世界中の優秀な人材をヘッドハンティングしているとのこと。しかも破格の予算で。当然成果が出ないとクビになります。
日本人の研究者も数人引き抜かれているようですが、Natureなどの雑誌に掲載されるような研究成果がないと、認めてくれないなど、
ほんとうにシビア
(Natureに掲載されることがどのぐらい大変なのかは素人の私にはわかりませんが…)
しかし、実績が見込めるのであれば、研究予算は青天井。実際に研究に必要な高額機器を即決で買われていました。
そんなシビアな環境だけど、大きなリターン(超一流の頭脳との仕事、使いきれない予算、高級な住まい、高額な報酬)が待っている所で働かれている日本人の方の紹介をされていました。


・完全なるリーダーシップ
 リー・シェンロン首相 この人の下でシンガポールという国は動いています。見た目は非常にやわらかそうな感じの人ですが、口を開くと非常にドライ。
バイオ研究所を作ったり、インフラを作ったりしなければいけないが、それを作る人員を海外から流入させています。しかし、一気に流入されると国がすぐに破綻する。なので、海外から来た労働者は厳しく管理されています。特にびっくりしたのが、女性。
メイドなどに従事している女性は妊娠が発覚すると強制退去させられます。そこまで厳しく管理しているとは驚きを通りこしています。
また金融危機でこういった建設現場で働いている労働者について、仕事があふれているので、手を打たないのか?と記者会見で聞かれると、
海外労働者はバッファです。(※1)
と発言。いまの日本でこんな発言したら、えらいことになるに違いありません。ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!
それと、別の記者会見では…
私が行う政策はシンガポール国民には説明はしますが、調整などは行いません。行うのみです(※2)
・・・ 言葉が出ません。マスコミがいないところでの発言ならともかく、記者会見でそのようなことを話す首相は見たことがありません。

完全なリーダーシップです。ある意味ワンマンです。

■思ったこと
 ・日本はこの先10年後、本当に世界で影響力があるような国だろうか?きっとシンガポールだけではなく、他の国もきっといま同じような仕込みをやっていて、日本は取り残されるかもしれない。
(※3)
 ・私の子供たちの競争相手は、通っている学校の同級生や、同世代の日本人ではなく、世界中の相手(国・年齢を問わず)と競争しなければならない。
 ・リー首相は、世の中の動きを的確に捉え、成長戦略を描き、実行させる
リーダー きっとこれだけのことをできるには、優秀な補佐の方も必要と思うが、現にこの番組でも優秀な補佐の方が紹介されていました。


シンガポールには数年前に旅行で訪れました。非常にきれいな街だけど、リトルインディアとかにもいって、そのギャップに驚いたものです。そんなシンガポールが小国でありながら将来のあるべき姿を考えて行動している姿に改めて驚かされました。
翻って、日本はこの先、この国に追い抜かれるのではないかという心配も起きてきました。子供たちが主役の世代(20~30年後)はどうなっているかわからない…という不安が頭をもたげています。

*****
と、長々と書きましたが、ほんとうに衝撃でした。
DVDなどが出るようだったらぜひ見てほしいドキュメントです。



※1、※2 録画もしていないので、自分の記憶を頼りに言われていた内容です。間違っていたらごめんなさい。正しい内容をコメントいただけたら修正します。

※3 NHKのページを確認したらGDPベースで日本を抜いているんですね。

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